近年、接骨院や鍼灸院での保険利用について、誤解が原因でいろいろな問題が起きています。
たとえば、保険が適用されない怪我や症状に対して無理に保険を使おうとすると、院とお客様、双方にとってリスクが生まれます。
また、結果的に医療費の増大につながり、将来世代へ負担を増やしてしまう恐れもあります。
この記事では、保険がどんな目的で存在しているのか、そして正しく利用しないとどんな問題が起きるのかをわかりやすく解説します。
また、一般の方が不正に関与しないためのポイントも解説しますね。
1. 保険利用に関する誤解
接骨院や鍼灸院は、怪我や体の不調を抱える人々にとって心強い存在です。特に、スポーツでの怪我や交通事故による怪我など、保険が適用される治療は重要です。
しかし、保険の適用範囲を正しく理解していないと、誤った利用が発生してしまうことがあります。
一般の方は知らないかもしれませんが、施術者の資格によって保険が適用される範囲も異なります。
- 鍼灸師: 鍼灸師が行う施術で保険を使うには、医師の同意書が必要です。主に神経痛やリウマチ、頸腕症候群、腰痛症、五十肩、変形性関節症などが対象です。
- 柔道整復師: 柔道整復師は、骨折や脱臼、捻挫、打撲、挫傷といった急性の怪我が保険の対象です。慢性的な肩こりや腰痛は対象外になります。
- あん摩マッサージ指圧師: あん摩マッサージ指圧師の場合、医師の同意書が必要なケースが多く、筋麻痺や関節拘縮などが保険の対象になることがあります。
こうした資格ごとの違いを知らずに保険を利用すると、患者さんにも施術者にもリスクが生じます。
2. 不適切な保険利用がもたらす影響
保険を正しく使わないと、以下のような問題が起こります。
- 施術者の信頼低下:不適切な請求を行った接骨院や施術者は、行政から指導や監査を受けることがあり、業界全体の信頼が損なわれる可能性があります。
- お客さんへの影響: 保険の対象外の施術を保険でまかなおうとするのは、お客さん自身にとっても法的リスクを伴う行為です。 以下、東京都食品健康保険組合様のホームページでも記載があるような事項に注意してみてください。
① いつも月初めに白紙の療養費支給申請書にサインしている →施術日数、施術部位等をつけ増しして不正請求
② 慢性的な肩こり、腰痛などで施術を受けたが「保険でやっておきますね」と言われた →保険適用の対象となる負傷名に改ざんして不正請求
③ 肩が痛くて施術を受けたが、「痛みの原因が首からきてますね」と言われた →無自覚の部位を追加して不正請求
④ 健保組合から柔道整復施術診療費の請求に関して照会があったら、当院へ持ってくるよう頼まれた →不正請求の証拠隠滅
https://www.tosyoku.org/jusei_seikyu/ 東京都食品健康保険組合 柔道整復師の不正請求にNO!
3. 問題解決のために必要な取り組み
こうした問題を解決するには、施術者とお客さんが以下の点を意識することが大切です。
- わかりやすい説明と情報提供: 施術者は、あらかじめ保険の適用範囲についてお客さんにしっかりと説明し、患者さんも正しく理解することが必要です。
- 資格ごとの役割を明確化: 鍼灸師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の役割を明確にし、それぞれの専門性を活かした保険利用を進めることが重要です。
接骨院や鍼灸院では、患者さんの健康を第一に考え、保険を正しく使うための取り組みが求められています。
なお、もりいち鍼灸接骨院では、自費診療のみとしておりますので、お客様に保険申請等に関わる不正に関与させてしまうご心配はありません。
※交通事故についてはご相談ください。
保険制度をみんなで守るためにも、一人ひとりが正しい知識を持ち、適切に行動することが大切です。