野球のバッティングといえば、競技の醍醐味といえます。
打てたときの快感は野球に熱中してしまう理由の一つでしょう。
しかし、このバッティングで「腰痛」になり、満足にバットを振れなくなるケースが多くあります。
今回は、腰痛の原因や対策について、解剖学的な観点を交えながら解説します。

バッティングにおける腰痛の主な原因
バッティングで生じる腰痛の多くは、胸郭の柔軟性不足と股関節の可動域不足によるものです。本来、体の動きは胸郭(胸椎)と股関節が連携しながらスムーズに行われるべきですが、これらの部位の柔軟性や可動域が十分でない場合、間に位置する腰椎に過剰な負荷がかかります。
腰椎の構造と動きの特徴
- 腰椎は5つの骨(L1~L5)で構成され、体を支える重要な役割を果たします。
- すべての腰椎を合わせても前後・左右・回旋の可動域は5~15度程度しかありません。
- 腰椎は上下の骨がブロック状に重なり合う構造のため、大きな回旋動作や柔軟な動きが得意ではありません。
過剰な負荷による影響
- 胸郭や股関節の柔軟性が不足していると、動作の負担が腰椎に集中します。
- 結果として、筋肉や靭帯の炎症だけでなく、ひどい場合には腰椎分離症などの深刻な障害につながる可能性があります。
- 腰椎分離症は、腰椎の一部が骨折する状態で、安静が必要な場合がほとんどです。
「腰を回せ」という表現の誤解
野球指導では「腰を回せ」というフレーズがよく使われますが、解剖学的に見るとこれは正確ではありません。実際には、腰椎自体は大きく回旋する能力を持っていません。
- 正確な動きのメカニズム:
- 「腰を回す」という動きの多くは、股関節の内外旋によるものです。
- 股関節がしっかり動くことで体全体がスムーズに回転し、腰椎への負担が軽減されます。
- 指導のポイント:
- 「腰を回す」ではなく「股関節の動き」を意識させる方が、正しいスイングフォームの習得につながります。
腰痛の予防と対策
腰痛を予防し、バッティングフォームを改善するためには、以下の3つのポイントを意識することが重要です。
1. 胸椎の可動域を改善する
胸椎の柔軟性を高めることで、腰椎にかかる負担を軽減できます。ストレッチポールなどで緊張を緩めたあと、背中を丸めたり反らせたりする動き、胸から上を左右に回す動き、体幹を側屈させる動きなどで腰より上を動きやすくしていきます。
2. 股関節の柔軟性を向上させる
股関節の内外旋がスムーズになることで、腰椎への負担が減少します。
なお股関節の動きに関わる筋肉はとてもたくさんあります。
開脚だけではなく、内外に捻る動きや、ふとももの前側を伸ばす動き、少し難しいですが腸腰筋という奥深くにある筋肉を伸ばす動きもできるようにしましょう。
3. 腹横筋などのインナーマッスルを強化する
腹横筋や多裂筋などのインナーマッスルを強化することで、腰椎を安定させ、過剰な動きを防ぎます。
まずはドローインと呼ばれるエクササイズで腹横筋を活性化していきましょう。仰向けになり、息をふ~~~っと吐きながらお腹を引っ込めるイメージで刺激していきます。
すでに腰痛がある場合の対応
すでに腰椎分離症や強い痛みがある場合は、安静が最優先です。
骨が折れている状態では、無理に動かすことで症状が悪化する可能性があります。
この場合は、医師や理学療法士の指導を受け、適切な治療を行いましょう。
リハビリ段階では、軽いエクササイズから徐々に負荷を増やしていくことが重要です。
まとめ
バッティングによる腰痛は、胸郭や股関節の柔軟性が不足している場合に、腰椎に過剰な負荷がかかることで生じます。
正しいスイングフォームを習得するには、「腰を回す」のではなく「股関節の動き」を意識することが大切です。
また、胸椎や股関節の可動域を改善し、腹横筋などのインナーマッスルを強化することで、腰痛の予防や再発防止につながります。
腰痛に悩む選手は、早めに専門家のアドバイスを受け、適切なケアとトレーニングを行うことを心掛けましょう。
もりいち鍼灸接骨院では、こういった根本的な機能の面やそれを支えるための栄養などの面からアドバイスを行いながら、ただ腰痛を改善させるだけではなく、再発しにくい身体作りをサポートしています。
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